2006年08月29日

轢き逃げには殺人罪を

 危険運転致死傷が制定されてから轢き逃げ事件が激増しているという。
 業務上過失致死傷+轢き逃げの刑罰の方が危険運転致死傷の刑罰より軽いからだ。
 酒酔い運転をして人を撥ねた時点で捕まれば危険運転致死傷になるが轢き逃げして酔いが覚めてから捕まれば酒酔い運転が立証できず業務上過失致死傷+轢き逃げの刑罰ですむ。
 福岡市の海の中道大橋でRV車に追突して海に転落させたまま逃亡し幼児3人を死亡させた今林大容疑者に福岡県警は危険運転致死傷容疑の適用を検討しているようだが立証は困難を極めるのでなかろうか。
 轢き逃げの方が危険運転致死傷より刑罰が軽いという馬鹿げた法制度があっていいものだろうか。
 危険運転致死傷に重罪は当然だが轢き逃げはそれよりもっと重い罪でなければおかしい。
 救急車および警察に連絡すれば助かる人を放置して逃走したため救助措置が手遅れになり死に至らしめることは未必の故意の殺人ではないか。
 轢き逃げは被害者が死亡した場合は殺人罪、被害者が死亡しないですんだ場合は殺人未遂罪を適用すべきだ。
 また轢き逃げ車の同乗者は殺人幇助または殺人未遂幇助を適用すべきだろう。
この記事へのコメント
 今だって放置した時点で「未必の殺意」が存在することを立証できれば、ひき逃げにも殺人罪が適用されますよ。
 それも知らないで「馬鹿げた法制度」と言う言葉を使うのはやめてください。


 ついでに言えば、危険運転致死傷でひき逃げが増えた現象にも象徴されるように、安易に交通事故厳罰を推し進めると、「一度ひいたら逃げる」状態を招きます。なまじ厳罰のせいで助かる命も助からなくなるのです。
 逃げずに被害者をきちんと救護するのを条件に、場合によって処罰しないのを考えた方が、起こった事故の被害を抑えるには役立つはずです。

Posted by 風の精霊 at 2006年08月29日 11:36

 今だって放置した時点で「未必の殺意」が存在することを立証できれば、ひき逃げにも殺人罪が適用されますよ。
 それも知らないで「馬鹿げた法制度」と言う言葉を使うのはやめてください。
 そうだったのですか。
 轢き逃げに殺人罪が適用されたことがあるのですね。
 馬鹿げた法制度という発言を謹んでお詫び申し上げます。
 しかし私は轢き逃げに殺人や殺人未遂が適用された報道を耳にしたことがありません。

Posted by 島谷 at 2006年08月29日 11:58

 例えばこんな記事でも。


http://response.jp/issue/2003/0522/article51108_1.html

 ひき逃げと言うのは俗語で刑法上の用語ではありません。ひき逃げと言うのは事故を起こした上で被害者を救護せず逃走する行為の総称です。
 過失で事故を起こし、ただ逃げただけ、というのではまず殺人罪は成立しません。
 現実には、殺意の立証が難しかったり、作為との同価値性の点で難点があったり、また殺人罪での処断はいきすぎだと検察官が判断しているので少ないと思います。
 ひき逃げなら殺人罪は一切適用されないというわけではありません。

Posted by 風の精霊 at 2006年08月29日 12:26

 風の精霊さん、記事の紹介ありがとうございます。
 悪質なものは未必の故意による殺人が適用されることがあるのですね。安心しました。
過失で事故を起こし、ただ逃げただけ、というのではまず殺人罪は成立しません。
 これが納得できません。
 放置された人が死んだ場合は殺人罪、幸いにも他の人が救助して死ななかった場合は殺人未遂罪にすべきだと思うのです。
 過失により殺意がなかったにしても放置して立ち去ったということは死んでもいいという気持ちが生じているはずです。
 過失の事故でも放置して逃げれば殺人または殺人未遂に問われるということが周知すれば轢き逃げは激減すると思うのです。

Posted by 島谷 at 2006年08月29日 12:52

 第三者として冷静な目で見れば、ひき逃げで最長7年半の懲役(単純なひき逃げの刑)になるのは、割に合いません。ひいた方としてはひいたって一円も得しないからです。
 事故である限り、被害者を救命して情状をよくしておいた方が損得勘定としても得です。逃げたって捕まるし捕まれば罪はもっと重くなります。

 冷静になれば、免許の取れる大人なら誰だってこれくらい考えられます。

 それでも逃げる人がいるのは、事故でパニックになっているのと、逃げおおせる期待と、処罰怖さの相乗効果と思われます。そこに刑罰の抑止が通用するとは思えないどころか、むしろ逆効果にさえなりえます。

 厳罰には、犯罪者の思いとどまりや被害者救護への障害になったり、刑務所過剰収容、犯罪者英雄化、社会復帰阻害による再犯助長など、社会一般の利益に反する副作用もあります。被告人の人権問題に限りません。
 危険運転罪導入でひき逃げが増えたと言うのは初めて聞きましたが、もし真実なら後戻り妨害の発露でしょう。
 この上逃げたら殺人と言ったら、パニックになって逃げた人が冷静になってから現場に戻って助けようとすることもなくなるでしょう。

 厳罰ならやめると言うほど人間は単純にできてはいません。


ちなみに、

>過失により殺意がなかったにしても放置して立ち去ったということは死んでもいいという気持ちが生じているはずです。

 現在の判例では死んでもいいという気持ちのことを殺意と言いますので、参考にしてください。

Posted by 風の精霊 at 2006年08月29日 13:26

 風の精霊さん、ご説明ありがとうございます。
 罪と罰に関しては風の精霊さんと私と公理が違うので話が噛み合いそうもありません。
 しかし法律の内容のご説明はとてもわかりやすく感謝しています。
>過失により殺意がなかったにしても放置して立ち去ったということは死んでもいいという気持ちが生じているはずです。
 現在の判例では死んでもいいという気持ちのことを殺意と言いますので、参考にしてください。
 ご教示ありがとうございます。
 それなら轢き逃げは殺意ある犯罪だと私は思います。

Posted by 島谷 at 2006年08月29日 13:47

風の精霊さん、おはようございます。

>それでも逃げる人がいるのは、事故でパニックになっているのと、逃げおおせる期待と、処罰怖さの相乗効果と思われます。

パニックになっているのと、処罰怖さだと思います。逃げおおせる期待などはなく、ただ逃げなければという(恐怖感にかられた)意識だけで行動しているのだと思います。

>過失により殺意がなかったにしても放置して立ち去ったということは死んでもいいという気持ちが生じているはずです。
 現在の判例では死んでもいいという気持ちのことを殺意と言いますので、参考にしてください。
 ご教示ありがとうございます。
 それなら轢き逃げは殺意ある犯罪だと私は思います。

小生は、風の精霊さんのおっしゃるような定義だとすれば、殺意はなかったと思います。つまり、放置して立ち去ったけれども、「死んでもいいという気持ちはなかった」と思うのです。パニック状態で、そんなことは考えていないでしょう。逃げながらも、(人通りのない場所での事故だったら)誰かに早く見つけてもらって助かってくれ!と思っている可能性もあります。・・・殺す気はなかったと供述しているけれども、包丁やナイフを隠し持っていたというのとは異なると思います。

小生もひき逃げには、非常に怒りを覚えますし、早く手当てすれば命を取り止めた人もいるとは思いますが、パニックに陥った人のやることですから、何とも言えません。


Posted by Takkun at 2006年08月29日 23:49

 駐車場でアクセルとブレーキを踏み間違えて我が子を轢いてしまった。
 当然パニックになりうろたえるでしょう。
 我が子のからだにしがみついたり、からだをゆすったりして容態を悪化させるような行動をするかもしれません。
 しかし轢いた我が子を置き去りにして逃げ出しますか?
 置き去りにするのは他人だからで深層心理ではその人はどうなってもいい(死んでもいい)と思っているのだと思います。
 意識として死んでもいいと思うのが殺意とすると深層心理で死んでもいいと思うのは殺意ではないのでしょうかねぇ。

Posted by 島谷 at 2006年08月30日 13:21

>意識として死んでもいいと思うのが殺意とすると深層心理で死んでもいいと思うのは殺意ではないのでしょうかねぇ。

小生は素人ですが、この質問に対する答えは明確だと思います。「深層心理で死んでもいいと思うのは殺意ではない」。

このあたりの見解について、風の精霊さんならば、お詳しそうですね。

Posted by Takkun at 2006年08月30日 23:59

基本的に犯罪というのは、行為であって意識でも無意識でもない。そして犯罪行為を行って有罪となり量刑を決めるときに、意識を理由に情状酌量されることはあっても、逆に罰を重くされることはない。(これからは素人の推測ですが、無意識を理由に情状酌量されることはない。意識を理由に罪を重くされることはないのだから、ましてや無意識を理由に罪を重くされることはありえない。)

Posted by Takkun at 2006年08月31日 00:08

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ブログ名: おおなかこなか
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