2006年04月03日

現実的妥協は進歩の妨げにはならない

 不合理な現実を容認し妥協することは進歩の妨げになると過剰に強調する人がいる。
 学者肌の人は特にこの傾向が顕著に思える。
 現実的妥協は進歩の妨げになるのだろうか。

 小学校で英語教育を採り入れるということが話題になっている。
 英語その他のヨーロッパ言語が合理的でないというところから合理的な言語としてエスペラント語が作られた。
 合理的な言語を教えるのが目的ならエスペラント語を教えるべきだろう。
 英語教育を採り入れようというのは合理的な言語だからというのではなく国際社会に活躍するためには英語が必要だからということだろう。
 エスペラント語のようなマイナーな言葉を教えても国際人として役に立ちそうもない。
 これは現実に妥協した教育で進歩の妨げになるだろうか。

 キーボードのQWERTY配列は、キーボード黎明期のとき早打ちによりキーが絡むのを防ぐため早打ちしにくいように定められた配列だ。
 つまり素早いキー入力をするためには極めて不合理な配列だ。
 そこで素早いキー入力のために合理的な配列としてDOVRAK配列、オアシス配列などが開発されたが依然としてQWERTY配列が大多数を占めJISもQWERTY配列を採用している。
 このことはコンピュータの進歩の妨げになっているだろうか。

 UNIX礼賛者は、Windowsを不合理なOSだと言う。
 しかしWindowsはOSで圧倒的なシェアを占めている。
 そこでアプリケーションはWindows対応のものがいっぱい作られ、ますますWindowsが栄える。
 このことはITの進歩の妨げになっているのだろうか。

 私は現実的妥協は進歩の妨げにならないと思っている。
 現実は不合理だからと現実をぶちこわすことも場合によっては大切かもしれないが、現実をいっさい容認しない態度の方が進歩の妨げになると思う。
 不合理な現実というハンデを乗り越え活用していくところに進歩があると思う。
 私は現実的妥協こそ進歩の源だと信じて止まない。

PS
 私は持ち時間システムでは累計加秒制が最も優れ、次善のシステムとして終局時間がシビアな場合にはサドンレス(切れ負け制)、終局時間がアバウトでよい場合は秒読み制だと思っている。
 しかし、累計加秒制の本家のYAHOOがこれを廃止してしまった。
 なんでだろ♪なんでだろ♪
 システムの良さが一般の人に理解できなかったのかなぁ。
 机上の論議だけで不採用になったのではなく数年間実施された上での廃止だからそれなりの理由があるはずだ。
 相手の持ち時間が増えることがあるのに違和感をもつのだろうか。
 YAHOOの意向を知りたいものだ。


この記事へのコメント
 透明さんはこんなことを言ってる。
「一手X秒内に打つ」というのが普通の時間の考え方ですが、X秒より早く打った時に、余った時間を貰いたいというのが彼らの考え方です。途中下車は運賃の差額を貰いたいというわけです。
 説得力あるなぁ。
 累計加秒制が受け入れられにくいのはこんな理由かなぁ。

Posted by 島谷 at 2006年04月03日 12:07

「キーボードのQWERTY配列は、キーボード黎明期のとき早打ちによりキーが絡むのを防ぐため早打ちしにくいように定められた配列だ」っていうのは、そもそもガセネタだと思われます。このネタは、August Dvorakっていう人が1930年代に新しいキー配列(いわゆるDvorak配列)を考案した際、既存のQWERTY配列を攻撃するために言い出したいわばイチャモンで、実は根拠がありません。詳しくは私のページの『QWERTY配列再考』をごらん下さい。

Posted by 安岡孝一 at 2006年04月06日 11:02

このネタは、August Dvorakっていう人が1930年代に新しいキー配列(いわゆるDvorak配列)を考案した際、既存のQWERTY配列を攻撃するために言い出したいわばイチャモンで、実は根拠がありません。
 そうだったのですか exclamation×2
 岡田議員やってしまいました。ふらふら
 教えて頂いたページを印刷して拝読させて頂き物凄く勉強になりました。
 蘊蓄好きの私メは機会あらば知ったかぶりをして能書きたれたいと思っています。
 安岡さん、ご教示どうもありがとうございました。

Posted by 島谷 at 2006年04月06日 12:26

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